【横浜港歴史さんぽ】神奈川県立歴史博物館と横浜開港資料館

投稿者: | 2018年7月22日

2018年は梅雨明けが早く、猛暑が続いています。わたしは、城跡などの史跡めぐりが好きなのですが、この暑さと日差しの中ではいくら好きでもちょっと大変です。そこで、涼しい冷房があって様々な歴史的な史料や展示が見れるところはないかと思いついたのが博物館や資料館めぐりです。今年は戊辰戦争と明治維新から150年ということもあり、時代転換の舞台ともなった港町横浜にある神奈川県立歴史博物館横浜開港資料館を訪ねました(2018年7月訪問)。

神奈川県立歴史博物館

まず訪れたのは「神奈川県立歴史博物館」です。東急東横線から直通のみなとみらい線「馬車道駅」から1分のところにあり、炎天下の日差しをほとんど受けずに着くことができました。夏の歴史散歩にはうれしい博物館です。

神奈川県立歴史博物館

博物館の建物は、明治37年に横浜正金銀行本店(東京銀行の前身)として建てられ、現在は国指定史跡にもなっています。旅先では、県立の博物館に行くとその土地の歴史と貴重な史料を見ることができ、歴史散策の助けになりますね。

今回は、幕末~明治維新のことをしっかり勉強しようと訪れたのですが、古代からの貴重な史料が豊富なので、すべてを見る気持ちでまわります。縄文土器のセンスには改めて驚きますし、わたしの好きな室町~戦国時代では、足利持氏の感状や豊臣秀吉直筆の北政所への書状などを見ることができました。秀吉の書状は神奈川の歴史博物館ですから、やはり小田原の陣で書かれたものでした。まだしっかりしていた頃の秀吉の家族思いの人柄よくわかるものでした、

ここでほんの少しだけ紹介するのは、室町幕府15代将軍足利義昭北条氏規あての書状です。天正4年(1576)に備後の鞆からのものと思われます。元は出家していたこともあり、かなりの達筆のように思います。まさに「筆まめ将軍」の本領を垣間見ることができます。そして、多くの方が「かわいらしい」という花押。こちらも初めて原本をみることができ嬉しく思いました。何となく植木鉢にお花というような感じがするのと、右にぴょんというのがとても個性的です。

足利義昭御内書

幕末も、やはり場所柄、時節柄横浜開港や、戊辰戦争関連の資料が充実しています。特に黒船来航(ペリー関係)は、艦隊の模型やお台場の大砲(実物大レプリカ)など「いきなりこれらが来たら慌てる!」というのが十分に伝わる展示となっていいます。ペリーは、本当にいろいろな顔で描かれています。異人=鬼というイメージ先行なのがわかりますね。

ペリーいろいろ

安政五か国条約(1858年)を見ると、開港を約したページが開かれています。こちらの無勅許での締結が1860年の桜田門外の変、そして幕府の弱体化へとつながります。とても感慨深いものがあります。

安政の五か国条約(版本)

そのほかにも、官軍将校の「赤熊(しゃぐま)」や「スナイデル銃」「北征日誌」など幕末・明治維新に想い馳せることのできる展示が充実していて、とても歴史欲を満たすことができました。その脚で近くにある「横浜開港資料館」へと向かいます。

神奈川県立歴史博物館の開館時間や休館日等はこちら(公式HP)でご確認ください。

横浜開港資料館

神奈川県立博物館から、神奈川県庁の方向に大さん橋を目指して歩いていったところに「横浜開港資料館」はあります。まずはこちらの絵をご覧ください。日米和親条約の締結に向けてペリー艦隊の兵が上陸している様子を描いたものですが、この絵の右側に描かれている樹木(たまくす)は、幕末の大火や関東大震災で被災しつつも、現在も資料館中庭で日米和親条約時とほぼ変わらない位置に現存しています。

たまくすの木

玄関から資料館敷地に入ってすぐのこの中庭のたまくすとその説明板を見て、まさにこの場所が横浜開港の地であり、日本の開国の場所であったのだと知ることができます。

資料館には、ペリー艦隊や横浜開港、その後の横浜の発展に関連した貴重な史料をみることができます。写真の撮影ができないためこちらではご紹介はできないのですが、ちょうど訪問した時には「金属活字と明治の横浜」という企画展が開催されていて、日本で初の合金製活版(大鳥活字)による「砲軍操法」「野戦要務」などの兵学書の現物を目にすることができました。

大鳥活字と兵学ということでお分かりになる方もいるかと思いますが、五稜郭で陸軍奉行として戦った大鳥圭介の出版物になります。このように偶然に興味や関心の高い史料を目にすることができることも博物館・資料館めぐりの醍醐味かな~とおもいます。

横浜開港資料館では、「戊辰の横浜(開港都市の明治元年)」という企画展が2018年7月21日~10月28日まで開催されます。同時期に横浜市歴史博物館でも「戊辰の横浜(名もなき民の慶応四年)」が開催(9月9日まで)されます。こちらにも興味津々です。詳しくは、横浜開港資料館のこちら(公式HP)をご参照ください。

そのほかにも周辺には歴史ファンに嬉しいスポットがたくさんあります。横浜開港直後に貿易の中心地となったのが横浜開港資料館のすぐ前の海「象の鼻」になります。まさにペリー上陸の図の海です。

象の鼻の図

現在の象の鼻

そのほかにも、近代パン発祥の地のや電話交換創始の碑をはじめとして文明開化と近代化の中心地であったことがわかるものがたくさんあります。また、赤レンガ倉庫や神奈川県庁など、見ごたえのある建築物が多いのもうれしいですね。

近代パン発祥の地

電話交換創始の地

猛暑の中であったため、あまり歩き回ることはできなかったのですが、幕末と明治に思いを馳せるには十分でした。次はもう少し涼しくなったらじっくり散歩してみたいと思います。

周辺案内図