坂本龍馬の命日に考える 大学入試と歴史教科書

投稿者: | 2017年11月15日

歴史教科書用語精選の報道

この記事を書いている11月15日は坂本龍馬が暗殺された亡くなった日です。そんな日に偶然でしょうか、次のような報道がありました。報道等に触れて少しだけ思ったことなどを記したいと思います。

坂本龍馬が歴史教科書から消えるぜよ!?高知に激震 テレ朝ニュース

歴史教科書からの坂本龍馬”排除”にファン悲痛…原因は暗記重視の高校教育と大学入試か AbemaTimes

初めにこの報道に触れた際に、「ゆとり教育のときと同じような・・」という感想を持ちました。ただ、報道は表現の仕方で印象がかなり左右されることもあります。まさに、篤姫の母上様がお話になっていたように「一方聞いて沙汰するな」に留意する必要があります。そこでこの記事に載っている「高大連携歴史教育研究会」の見解を調べてみました。

高大連携歴史教育研究会の見解

高等学校教科書および大学入試における歴史系用語精選の提案(第一次)およびアンケート実施 高大連携歴史教育研究会

高等学校教科書および大学入試における歴史系用語精選の提案(第一次)PDF

上記のPDFに詳しく今回の提案についての趣旨も記載されています。下記はその一部の引用です。

大学入試で教科書に出ていない細かい事実を問うような問題が出されると、その事項が次の改訂の際に教科書に収録される傾向が続いているからだといわれています。その結果、高等学校では、膨大な用語の説明・暗記に追われ、古代から始めた授業が現代まで到達しないままに終わったり、思考力を育成して生徒に歴史を学ぶ楽しさを実感させられる授業を行う余裕がない状況が続いてきました。つまり、高等学校における歴史系教科書の用語膨張の原因には、大学入試で細かい用語の暗記力を問う問題が出続けていることの影響も大きいわけで、用語の精選は教科書だけでなく、大学入試の出題用語の精選と並行して行う必要があることを意味しています。

大学入試問題の改善が必要

これを踏まえますと、大学入試の問題作成に問題があり、その改善が図られない限りは教科書の語句を少なくしても教科書とは別の暗記勉強をしなくてはならないことに変わりがないように思います。そう考えると坂本龍馬を入れる入れないということではなく、まずは大学入試作成側に必要のない知識を問わないことを徹底させることが重要だと思います。

私も歴史が好きではあったのですが、大学入試の歴史問題については教科書だけではとても対応できず、いろいろな大学の過去問で出た用語はすべて覚えるつもりで勉強した記憶があります。聞いたことのない土器の名称や、文化人の代表作品だけでなくそれほど有名でないものの名称まで・・。歴史が好きな人でも辟易とすることもあるのですから、そうでない方が歴史離れをおこすのも仕方ないのかもしれません。

今回の報道と、高大連携歴史教育研究会の見解を読んで、「必要のない暗記は無くす方向は賛成。ただし、日本の歴史を好きになる、関心を持つきっかけともなるような人物や事柄は精査して記載すべき。そして、まずは大学側の入試問題改革を」というのが率直な感想です。なんのための大学入試なのか?ふるいにかけて暗記の得意な学生だけ入れたいという時代ではないと思うのです。

いずれにしても、今後議論がなされ、歴史を好きな人が増えるような方向になることを希望したいと思います。

追伸:現在「高大連携歴史教育研究会」ではWEBアンケートも行っています。

報道追記

「坂本龍馬が教科書から消える」には、大誤報が潜んでいる 現代ビジネス


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