歴史が好き.comでは、平成30年4月23日から26日の3日間にTwitterによる名古屋城天守閣木造復元にかかるEV(エレベーター)設置の是非についてアンケート調査を実施しました。アンケート投票の結果は以下のとおりです。
アンケート結果の概要
名古屋城天守閣木造復元にあたりエレベーターの設置の有無が議論されています。下記のアンケートへのご協力をお願いいたします。#名古屋城
— 歴史が好き🍀 (@naruseyanoken1) April 23, 2018
多くの皆様にご協力をいただきましたことを感謝申し上げます。
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アンケート結果から雑記
名古屋城天守閣木造復元にあたり、議論されているエレベータの設置の是非は、言うまでもなく多数決原理で決めることができる問題ではありません。また、いずれの結論となってもすべての人が納得することは困難な問題だと考えられます。
ではなぜ、アンケートを実施したのか、それは「歴史が好き」をフォローしていただいている主に歴史に興味関心のある方や普段城めぐりなどを楽しまれている方々がどのように考えているかが、木造復元名古屋城の価値へのEVの影響を図る物差しになりうるのではないかと考えたからです。
アンケートに関連するtweetでは、「できるだけ当時を忠実に再現することに価値があり、EVという現代の技術を用いることで、当時の再現とはまったく言えないものができる。それに魅力は感じない。」といった主旨の意見が多くありました。
一方で、「ユニバーサルデザインに則して、いつでもだれでもという考えで建築すべきで、世界や未来に恥じないようにするべき」という意見もありました。その他多種多様な多くの意見をいただきました。
名古屋市長が復元に力を入れるのは、名古屋経済の発展、すなわち観光のためと考えてよいでしょう。「当時を再現しています」を一番の目玉(売り)にしたいところに、それに矛盾するEVの設置は避けたいのだと推測します。EV設置で魅力や価値が下がると考える人が多数存在することも前述のとおり事実です。
多額の名古屋市民の税金を投入して建築する以上、多くの観光客を呼ぶ起爆剤として投資を上回る経済効果を得る必要があります。経済効果は名古屋市民にも波及します。それを妨げる可能性のあるものを是としないのはひとつの考え方でしょう。
ただし、名古屋市には「福祉都市環境整備指針~人にやさしいまち名古屋をめざして~」にあるように、ユニバーサルデザインのまちづくりとして掲げる目標があります。名古屋市の公共施設ですから、名古屋市民の障がい者が全く利用できないようなことは許されず、EVを設置しないのであれば、市にはそれに代わる価値を創造する義務があります。
たとえば、(予約制であっても)ある一定の日時に、障害のある方がサポートを得て登城し特別観光ができるような方策を、障害のある方の意見を聞きながら構築する必要があります。
名古屋市の経済発展(名古屋市民の全体幸福)という大きな目標が「公共の福祉」として、一部の方の人権制約となるのか、補完する方策によって穴埋めができるのか、今後も注目していきたいと思います。
参考報道
名古屋城新天守にエレベーターはなし 市長が正式表明 2018年5月31日 朝日新聞
名古屋市の河村たかし市長は30日、名古屋城木造新天守にエレベーターを設けない、と正式に発表した。障害者団体から設置要望を受けていたが、「史実に忠実な復元のため」として退け、代わりのバリアフリー策の候補として11の新技術を示した。
出典: www.asahi.com
名古屋城新天守「エレベーターなし」…市長判断 2018年4月25日 読売新聞
江戸時代の姿の再現か、時代に合わせたバリアフリー化かで賛成派と反対派の主張は平行線をたどったが、河村たかし市長は会合後、「設置すると400年前の姿ではなくなる」と述べ、エレベーター以外の設備でバリアフリー化を進める考えを強調した。市は5月に最終決定するが、障害者らが現天守閣と同様に求めてきた設置は、トップの判断で見送られる公算が大きくなった。
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