日本史は、日々の研究や発掘の成果により更新されています。それでも、いつどんな発見があったのかは、あまりに多くの発見があるために忘れてしまいがちです。ここでは、2019年の縄文時代の新発見を月ごとに記録してまいります。縄文時代の新発見はその多くが地道な発掘作業と修復作業かと思います。改めてたずさわれている方々に感謝いたします。今年も驚くような新発見に出会えますように…。(2019年12月27日最終更新)
1月
縄文期の結髪土偶、左脚と上半身一致 山形大附属博物館 2019年1月17日 産経新聞
山形大学付属博物館は17日、所蔵する結髪土偶(高さ15×肩幅16センチ)の左脚が見つかったと発表した。結髪土偶は、頭部が髪を結ったような形をしている土製人形で、縄文時代晩期(約3500年前から2400年前)に主に東北地方で見つかっている遮光器土偶の後に出土している。
出典: www.sankei.com
つくば 下河原崎谷中台遺跡 完全形の縄文土器出土 2019年1月19日 茨城新聞
茨城県教育財団は16日、つくば市下河原崎谷中台の下河原崎谷中台(しもかわらざきやなかだい)遺跡で、約7000〜1万年前(縄文時代早期)のほぼ完全な形の土器が出土したと発表した。県内では数例しか確認されておらず貴重な資料になる。ほか、約2万〜3万年前(旧石器時代)の石器製作跡7カ所を確認しており、同財団は「旧石器時代から縄文時代にかけて、狩り場から集落へと土地利用が変化しており、人々が定着していく過程をうかがえる」と成果を話した。
出典: ibarakinews.jp
2月
徳島、縄文の「朱」生産遺跡 石臼や赤い耳飾りも 2019年2月18日 共同通信
徳島県阿南市の加茂宮ノ前遺跡で、古代の赤色顔料「水銀朱」を生産したとみられる縄文時代後期(約4千~3千年前)の石臼や石きね300点以上のほか、朱が塗られた耳飾りが出土し、県教育委員会が18日、発表した。
出典: this.kiji.is
3月
奄美最古の土器出土 1万3800年前の生活跡発見 天城町・下原洞穴遺跡 2019年3月16日 南海日日新聞
【徳之島総局】天城町教育委員会は15日、同町西阿木名地区内の下原洞穴遺跡の発掘調査で、縄文時代草創期の約1万3千~1万4千年前に出現したとされる「隆帯文土器」の破片が出土したと発表した。奄美群島では喜子川遺跡(奄美市笠利町)や面縄貝塚(伊仙町)などで発見されている約6千~7千年前の南島爪形文土器が最古とされており、町教委は「奄美最古となる土器で、この時期の生活跡が見つかったのは奄美で初めて。列島と大差ない時期に土器文化が始まったと考えられる」としている。
出典: www.nankainn.com
「縄文人はおしゃれ」裏付け デザイン性高い漆製品多量出土 福島・前田遺跡 2019年3月27日 毎日新聞
縄文人はやっぱりおしゃれだった――。県教委が今年度調査した福島県川俣町小綱木の前田遺跡から、最も古いもので縄文時代中期後半ごろに作られたとみられる多量の漆塗り製品などが出土した。通常出土しにくい木製品や漆塗り土器がきわめて良好な状態で見つかった。デザインへの意識の高さや、木の道具を使った火おこしなど、縄文人の生活に関するさまざまな定説を裏付ける、有効な資料となりそうだ。
出典: mainichi.jp
4月
4月の新発見の報道は無かったようです。
5月
縄文人ゲノムを高精度解析=「酒に強い」特徴も-国立科博など 2019年5月13日 時事通信
国立科学博物館などの研究チームは13日、北海道・礼文島の船泊遺跡から発掘された約3500~3800年前の縄文時代後期の女性人骨から全遺伝子情報(ゲノム)を高精度に解析したと発表した。論文は近く、日本人類学会の英文誌に掲載される。国立科博の神沢秀明研究員、国立遺伝学研究所の斎藤成也教授らのチームは船泊遺跡で見つかった女性人骨の大臼歯からDNAを採取。保存状態がよく、現代人とほぼ同じ精度でゲノムを解析することができた。
出典: www.jiji.com
6月
縄文の人口減、ゲノムで裏付け=現代人のY染色体解析-東大 2019年6月17日 時事通信
東京大の研究チームは、現代の日本人男性のY染色体の解析から、約2500年前の縄文時代後期-弥生時代に人口が急減していたことを突き止めた。縄文後期の人口減は遺跡の発掘などで推定されてきたが、遺伝子解析からも裏付けられた形だ。論文は17日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
出典: www.jiji.com
7月
国内最古級の埋葬人骨発見…腰部で遺体切断の形跡、縄文人に一般的な「屈葬」と異質 2019年7月22日 読売新聞
群馬県長野原町で2014年から発掘が続く居家以(いやい)岩陰遺跡で、縄文時代早期(約8300年前)の国内最古級とみられる埋葬人骨が複数体、発見された。墓地だったと推定され、縄文人に一般的な「屈葬」と異なり、遺体を切断したと思われる独特な埋葬法も確認した。縄文初期の埋葬習俗や死生観を知る上で重要な成果として注目される。
10月
動物捕獲用「落とし穴」 与助尾根遺跡 2019年10月18日 長野日報
茅野市教育委員会は17日、同市豊平の国特別史跡「与助尾根遺跡」の発掘調査で、動物を落として捕まえる「落とし穴」が4カ所で確認されたと発表した。同遺跡で落とし穴が見つかったのは初めてで、縄文時代中期(約5000年前)の集落として全国的に知られる遺跡だが、集落ができる以前は縄文人の狩り場だったと考えられるという。
京都にも縄文遺跡 3000年前の木組み遺構発見 炊事、洗濯用? 2019年10月24日 毎日新聞
京都府城陽市寺田大畔の水主(みぬし)神社東遺跡で、縄文時代晩期(約3000年前)の自然流路の水辺に設けられた木組み遺構や木道などが見つかった。府埋蔵文化財調査研究センターが23日発表した。遺構は長さ2・3メートル、幅70センチのます状に木材を組み、たくさんの石を乗せてあった。丸太を割った長さ3・5メートル、幅40~70センチの木道も出土し、生活水を利用するための施設とみられる。水辺の類例は東日本を中心に20カ所確認されているが、府内では初めて、近畿では3例目。
出典: mainichi.jp
12月
縄文中期の生活跡出土 七尾・田岸遺跡 竪穴住居や炉確認 2019年12月4日 北國新聞
石川県教委と県埋蔵文化財センターが七尾市中島町田岸で進めていた田岸遺跡の発掘調査で、約4500年前の縄文時代中期の土器や住居跡などが見つかった。当時の能登での暮らしぶりがうかがえる良好な史料で、県教委などは8日午前11時から現地説明会を開く。
新しい発見は随時更新してまいります。
おすすめ書籍
縄文時代の歴史 (講談社現代新書)
山田 康弘 (著)
1万年以上続いた世界史上ユニークな文化「縄文」とは?縄文時代の人々はどんなものを食べていた?縄文時代の家や集落の姿は?縄文時代の墓は?縄文時代に農耕はあった?縄文時代は平等な時代だった?縄文時代に戦争はあった?縄文土器は「鍋」だった?最新の知見で描く、「縄文時代」の通史、決定版!「縄文」のすべてがわかる!